天気の良い休講日の早朝、カメラを車に乗せ出かけた。
つもりだった。
東へ10kmほど行ったところで気がついた。
「あ、カメラ忘れた」
交換レンズやレンズフィルターなど小物はすべて揃っているのに、カメラ本体を忘れた。
夜明けの街をUターン。
自宅に戻ると家人が少し驚いた様子だけれど「いつものこと」と笑っている。
なんだか目的地を変更したくなり西に向かう。
あちらこちらの紫陽花などを撮影しながら、昼食は蒜山ハーブガーデンハービルで「蒜山の恵みピザ」。
今のところ、ここのピザが一番美味いと思う。
帰りは県境を超えてすぐ、今は廃村になっている場所にある清流に沿って紫陽花が咲く、スマホの電波も届かない山奥へ。
紫陽花にはまだ早いと知りながら様子を見に行きたくなった。
ほとんど咲いていないけれど、畑をしながら紫陽花を大切に育てている女性に今年も会えた。
毎年行って話をしているので、私のことを憶えていただいている。
満開はまだ先だと教えてもらいながら「玉葱持って帰んならんか」と掘りたての玉葱を差し出してくれた。
「カレーにいれると美味いで」と言いながら。
一昨年昨年と紫陽花の話や村の話を沢山聞いて、この地への想いも深くなっている。
清流も紫陽花もそしておばあさんもいつまでもこのままで、と考えるのは私のわがままなのかもしれない。
紫陽花の名所はたくさんあるけれど、一番好きなこの場所に今年はまた来れると思いながら帰宅した。